2026.07.01
ブランドがロゴではなく、
一本の川であるということ——アマゾンのアイデンティティシステムから得た気づき
最近、何度も見返してしまうほど感動したプロジェクトがありました。
美しいから、というだけではありません——確かに美しいのですが——それ以上に、ブランドというものを改めて教え直されたような感覚があったからです。
これは今年発表されたブラジル・アマゾンのブランドアイデンティティで、地域・国家ブランド戦略を専門とするコンサルティング会社、FutureBrandのサンパウロスタジオが手がけたものです。一見すると「また自然をテーマにしたリブランディングか」と思うかもしれません。でも、実際に中身を見ていくと、まったく違うことをしているのがわかります。
🌊 なぜ動植物ではなく、川なのか?

このブランドが抱える課題は特殊なものでした。アマゾンはブラジルの9つの州にまたがっており、2800万人の住民全員に「これは自分たちのことだ」と感じてもらえるアイデンティティを作るのは、そもそも簡単なことではありません。
アマゾンのビジュアル素材は、熱帯雨林、珍しい鳥、色鮮やかな花など、いくらでもあります。これらの要素は非常に識別性が高いものの、ひとつ問題があります。それらが表しているのはある種の生態的な景観であって、9つの州の住民が共有する暮らし方ではないという点です。特定の鳥や花一つで、アクレ州の人々とパラー州の人々が共有しているものと、異なっているものを説明するのは難しいのです。
FutureBrandが選んだのは川でした。衛星画像からアマゾン川とその支流の実際の曲線座標を抽出し、その曲線から文字を導き出して、専用のタイプフェイス一式を作り上げたのです。

この決定の背後にある洞察は深いものですが、コンセプト自体はシンプルで記憶に残るものです。現地の住民にとって、川は単なる景観ではなく、ナビゲーションシステムなのです。外へ出るための道であり、交易の通り道であり、日常生活の骨格そのものです。9つの州をまたいで、すべての人をつなげています。動植物は外部の人がアマゾンを見る視点であり、川はアマゾンの人々自身の暮らし方そのものなのです。
この二つの差が、アイデンティティがどちらの視点から出発するかを決定づけます。
🏷️ アイデンティティを本物のビジネスツールに変える
私が最も興味深いと感じたのは、Feito de Amazônia(Made of Amazon)と呼ばれる認証マークです。
地元で生産された製品であれば、基準を満たしさえすればこのマークを掲げることができます。シンプルに聞こえますが、その実際の機能を考えてみてください。これによってブランドは「観光局のイメージシステム」から「地元生産者のための商業的な証明書」へと変わるのです。手作り石鹸を売る小さな農家が、このマークを使って世界に伝えることができます。「私の製品はアマゾン産です」——これはマーケティングの謳い文句ではなく、認証された事実なのです。生産者はこのアイデンティティを通じて、より多くの人に認知してもらえるようになります。
これこそがブランドが本当に地に足のついた形で機能している姿です——日々の経営と無関係なものではなく、人々が市場での信頼を築くのを助けるツールなのです。
ブランドの機能とは何でしょうか。宣伝でしょうか。イメージづくりでしょうか。それとも、一種のインフラになり得る、そしてそうあるべきものなのでしょうか。
🧬 9つの州、ひとつの家族:ブランドはどう「生きて」いるのか

このプロジェクトはliving brand(生きたブランド)と呼ばれていて、最初の反応としては「動くロゴのようなものだろう」と思いました。「生きている」というのは、つまり動くビジュアルのことではないのか、と。
しかし、そうではありませんでした。
その「生きている」という性質は、それぞれの州の特色が持続的に成長していけるようにするフレームワークにあります。コアとなるタイプフェイス、グラフィック言語、アイデンティティ構造といった共通の基礎的な語彙がある一方で、色やグラフィック要素は州や状況に応じて、あらかじめ設計された柔軟なバリエーションを持っています。無制限の自由ではなく、ルールのある柔軟性なのです。
この構造は実際のところ、作るのがとても難しいものです。無制限の自由を作るのは簡単ですし、完全な統一も簡単です。難しいのはその中間です——何がコアで何が変化してよいのかを定義し、その柔軟な余地を十分に明確に設計することで、異なる使い手がルールの範囲内で自分らしさを表現できるようにすること。アクレ州とアマゾナス州のビジュアルは異なっていてもよいのですが、一目で同じファミリーだとわかるのです。
その「均質ではないが、まとまりがある」という感覚こそが、デザインの難しさの核心です。
💡 このプロジェクトから考えさせられたこと
多くのクライアントがデザイナーに相談する際、最初に口にするのは「新しいロゴが必要です」という言葉です。それはごく自然なことです。しかし、ビジュアルが登場する前に、まず考えておく価値のある問いがあります。このブランドは誰のために存在するのか?内部において揺るがない要素をどう見つけ出すのか?外部の人々に何を見せたいのか?
アマゾンのプロジェクトは、まずこの問いに答えてから、デザインを始めています。
この順序は、おそらく正しいのだろうと思います。
もしあなたも自分のブランドについて考えていたり、「意味のあるアイデンティティシステムをどう作るか」に興味があれば、ぜひ気軽にお話ししましょう。すぐに何かを始める必要はありません。問いをはっきりさせるだけでも、たいてい大きな収穫があるものです。


