2026.08.25
ブランドアイデンティティはどう作られるのか?
深いブランド思考」を築くための鍵

YUSHI Design 実績 - 禾舟身心診所

🤔 アイデンティティは何を伝えているのか?
ブランドアイデンティティを作るとき、実はうまく言葉にできない感覚があります。見た目はきれいなのに、このブランドがどんな価値や感覚を伝えたいのか、うまく言葉にできない。実は美しいビジュアルは、あくまで最低限のライン。ブランドが本当に語りかけられるかどうかは、その裏にある少し深いブランドデザイン思考にかかっています。
初めてブランドデザインに触れるオーナーさんからよく聞かれるのが、こうしたコンセプトや伝えたいメッセージはどうやって思いつくのか、突然ひらめくものなのか、ということです。
せっかくの機会なので、私たちがクライアントのブランドを整理するときに、ビジュアルの裏側でどんなことを考えているのか、その思考プロセスをお話ししたいと思います。
🌪️ ブランドデザインは漏斗(じょうご)のようなもの、ビジュアルは最後
想像してみてください、お任せコースのような料理を作るところを。最終的にお客様の前に出てくるのはビジュアル、つまりその時々の季節、食材、創意、美意識が凝縮された結晶です。それより前に、まず季節の食材を理解し、味加減をつかむ必要があります。この順番を逆にすることはできません。
ブランドデザインのプロセスもこれと似ていて、最初からパソコンを開いて絵を描き始めるのではなく、一段階ずつ絞り込んでいくものです。

第一段階 🫥、まずは「自分は何者なのか」をはっきりさせること。
少し抽象的に聞こえるかもしれませんが、例えば心理カウンセリングルームのブランドを作るとしたら、「ここはカウンセリングの場所です」というだけでは足りません。むしろ先に考えるべきは、ここに来るクライアントに、自分をどんな存在として感じてほしいか、ということです。
尊厳を持った指導者のような存在か、それとも本人が自分自身で気づけるよう寄り添う伴走者のような存在か。この二つのポジショニングでは、その先にできあがるものがまったく変わってきます。このポジショニングの部分は、オーナーさんと一緒に探っていきます。なぜこのブランドを立ち上げたいのか、これまでどんな経験をしてきたのか、市場のどんな課題に気づき、それを改善したいと思っているのか、そういったことを知ることで、ポジショニングをさらに絞り込んでいきます。
第二段階 🔬、その核となる感覚を抽出すること。
オーディエンスがこのブランドに触れたとき、心の中に浮かんでほしい感覚は何でしょうか。安心感なのか、主導権を取り戻すようなエンパワーメントなのか、それともようやくひと息つけるような穏やかさなのか。
この段階ではまだビジュアルはなく、純粋に感覚だけの話です。でも、このステップは意外とよく飛ばされてしまうと感じます。みんな早くビジュアルを見たがってしまうんですね。この探求がないと、デザインは散漫になり、核となる精神を失ってしまいます。

第三段階 💫、いよいよビジュアルへの翻訳です。前の段階で見えてきた感覚を、どうビジュアルで呼び起こすかを考えます。
デザイン手法としては、具体的なモチーフや抽象的な概念を通して、オーディエンスにその感覚を引き出していくことができます。
圧迫感のない、呼吸できるような余白を感じてほしいなら、大きな余白や、穏やかさを象徴するモチーフを使うことができます。専門性や安心感を伝えたいなら、線は手描き風や不安定に揺れるような形を避け、シンプルで安定したものに寄せていきます。
🔍 色は感覚で選ぶものではなく、その裏にリサーチがある
アイデンティティにおける細部の選び方には、それぞれしっかりとした根拠があります。考えるべきは、その状況でオーディエンスが実際にどんな心理状態にあるか、ということです。
例えばカウンセリングルームに来る人は、不安や緊張を抱えていることが多いものです。そんなとき、ビジュアルが目を引くような強いコントラストの色ばかりだと、かえってプレッシャーを重ねてしまいます。
さらに、その業界や学術的な文脈がどのように発展してきたのか、現在の市場ではどんな状況にあるのかを理解することも大切です。専門分野の裏にあるロジックを理解して初めて、それを一般の人にも伝わるブランドの言葉に翻訳することができます。
🛠️ まず基準を定め、それからビジュアルを検証する

私自身は「描きながら考える」というやり方があまり好きではありません。そうすると見た目はきれいでも互いにつながりのない案ばかりができてしまい、結局クライアントを迷わせることになります。
私たちが普段大切にしているのは、描き始める前にブランドの骨格をしっかり引き出しておくことです。
本質、価値観、パーソナリティ、体験という四つの視点で一通り考え抜き、そこからキーワードを整理していきます。ブランドの核が定まって初めてデザインを始め、制作中や完成後に行き詰まったときは、必ず最初に設定したキーワードからずれていないかを見直すようにしています。例えば、本来なら落ち着きと安心感を感じさせるべきカウンセリングルームなのに、上品さを追い求めすぎて、美容クリニックのような雰囲気になってしまう、といったケースです。
🤝 これは一緒に作り上げていくもの
ここまでお話ししてきましたが、お伝えしたかったのは、ブランドアイデンティティのデザインは、とても実践的で、何度も試行錯誤を重ねていくプロセスだということです。
デザイナーの役割は、いわば翻訳者に近いものです。あなたの中にある、言葉にはしきれない想いを、目に見え、感じ取れるビジュアル言語に変えていく。それはあなたの事業にとって欠かせない顔にもなります。
もし今、新しいブランドを立ち上げようとしていたり、既存のブランドがどこかで行き詰まりを感じていたりするなら、ぜひお気軽にご連絡ください。一緒に解決策を探っていきましょう!


